2019年6月4日火曜日

若い監督の思いが伝わってきた『おいしい家族』

板尾創路の花嫁衣装に、思わず目が釘付けになった『おいしい家族』。

第40回すばる文学賞受賞・ndjc2015選出など、文学・映像両才能を持ち合わせたふくだももこの長編初監督作品である。
試写の案内をいただき、さっそく見に行った。
試写前に配給の日活プロデューサーとふくだももこ監督のひとこと挨拶があった。
日活プロデューサーはふくだももこ監督の本を読み、短編作品を見て、その才能に惚れ、長編作品のプロデュースを切望したようだ。
ふくだももこ監督はまだ若いが、「伊丹十三監督のような社会性のあるエンターテイメント作品を作りたい。伊丹十三監督はお亡くなりになっているけれど、私の心の中にまだしっかり生きている」と言い切り、志を高く持つ。
そして、「自分を大切にして、隣にいる人が他人でも知り合いでも、ただ人にやさしくすることが何より大切なことで、それだけが世界を変える方法だと思っています」と語った。
監督は自分の過去にも触れた。
もしかすると辛い思いを経験したのかもしれない。
だからこその強さと優しさを感じさせる。

さて、作品は。
”自分はダメだから、大切な人に受け入れてもらえない”と思い込み、背を向けてしまう。
誰にでもありうること。
しかし、自分が大切に思っている人なら、きっと丸ごとの自分を受け入れてくれるはず。
勝手に諦めないで、向き合ってみようというメッセージが伝わってきた。



試写後、おはぎの振る舞いがあった。
そう、この作品を見るとおはぎが食べたくなるのだ。
ただ、できれば1人で食べるのではなく、家族と食べたい。
ありがたく頂戴して家に持ち帰った。

『おいしい家族』


銀座で働く橙花は、夫と別居中。
仕事もうまくいかず都会での生活に疲れ気味。
ちょうど母の三回忌を迎え、船にゆられて故郷の離島へ帰ってきた。
すると、実家では父が母の服を着ておいしいごはんを作って待っていた。
唖然とする橙花に追い打ちをかけるように、見知らぬ居候が登場。
それはお調子者の中年男・和生と生意気な女子高生・ダリア。
「父さん、みんなで家族になろうと思う」
突然の父の報告に動揺する橙花とは裏腹に、一切気にも留めない様子の弟・翠が加わり、みんなで食卓を囲む羽目に…。
みんなちがってそれでいい。
のびのびと過ごす島の人々と、橙花の暮らしがはじまった。

出演:松本穂香、 板尾創路 、浜野謙太
監督・脚本:ふくだももこ
音楽:本多俊之
撮影:高橋草太
照明:山本浩資
録音:原川慎平
美術:大原清孝 
編集:宮島竜治
音楽プロデューサー:岡田こずえ
衣裳:江森明日佳
ヘアメイク:佐藤美和

 ©2019「おいしい家族」製作委員会
公式サイト:https://oishii-movie.jp/
2019年9月20日(金) 全国ロードショー

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